



明和電機ジャーナル15号 明和電機と模型
明和電機の製品を忠実に縮小した「明和電機ナンセンスマシーン・1/6サイズモデル」。このアートピースの開発プロセスの秘密、また社長自身の幼少時のプラモル体験、そしてマルセル=デュシャンの模型作品までを語り尽くした、ミニチュア特集です。
<本文 はじめにより>
2017年2月19日、幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル2017(冬)」に明和電機が出展しました。フィギュアや模型好きが大集合するこのイベントに、オリジナルのナンセンスマシーンとその1/6 サイズのミニチュアモデルを展示しました。
オリジナルのナンセンスマシーンのサイズを「1/1」と表記するならば、ミニチュアモデルは「1/x」と表記できます。X には模型によっていろんな数字が入ります。今回明和電機が作ったモデルは「1/6」ですが、田宮模型のミリタリーシリーズは「1/35」、僕が最初に作ったガンダムのプラモデルは「1/144」でした。
自分の小さいころを振り返ると、プラモデルを作ったり、超合金やSFチックなフィギュアに触れたりと、とにかく「ミニチュア玩具」で遊んでいました。それはいわば「1/x」サイズの世界です。そうやって子供時代は腕の中にすっぽりと納まる「1/x」の世界で遊ぶことで、これから出会うであろう社会の予習をしていました。
思春期に入るあたりから、僕は芸術家になることを真剣に考えはじめ、そうした「1/x」サイズの世界からはなれて「1/1」サイズの自分の物語を探し始めました。その流れは現在の明和電機の活動までずっと続いています。しかし、今回ワンフェスに出展することで、そうした長い「1/1」の流れからふたたび子供時代の「1/x」の世界に戻る体験をしました。この流れを数字でかけば、
1/x → 1/1 → 1/x
ということになります。数字だと単純ですが、実際にはこのプロセスで自分を振り返ることができ、ミニチュアモデルを実際に手を動かして作ることで、新しい表現方法を見つけることができました。今回の明和電機ジャーナルは、そんな明和電機にとってのミニチュアモデルとはなにか? について掘り下げ、みなさまにご紹介します。
明和電機 代表取締役社長 土佐信道